■ ディアネイラの精神失調
ディアネイラの精神感応はあまりにも鋭敏で、まるで相手と感覚を共有したように感じる。そのため、基本的な知覚構造の違う異性が相手の場合、激しい違和感を覚えてしまう。この違和感は頭痛や吐き気を伴ったり、ひどい場合には理性の働きを阻害する。
しかもこの精神的苦痛は男性が側に寄るだけで意図しなくとも起こってしまい、ディアネイラにはコントロールできない。これはディアネイラの精神感応が、精神波を読み取る一般的なそれと異なり、生命エネルギーの波動を感知する性質の能力だから。
エイジに対してその発症がみられないのは、彼の精神がまだ未成熟な子供と同じで性的に未分化だから(子供に対しても同じ事が言える)。
一方、親しい関係の異性に対してこの抵抗が軽減されるのは、相手に対する理解が精神感応における不具合を調整するよう働くから。ただしそれは軽減であって解消ではない。たとえば裏表のある男性に対しては、近親者であろうとも見知らぬ他人に対するのと同様の精神的苦痛を感じる。
ディアネイラの精神感応は一般的なテレパシーと異なり、他者の精神とのいわばスキンシップのような能力。そのため精密な読心はできない反面、天文的距離の知覚範囲を持つ。
テレパシーは他者の精神波を読み取る一方、ディアネイラは他者の生命エネルギーの波動を感じ取る。この波動はスターウェーを形作る力と同質のもので、実は人も星々と同じように繋がり合い、生命エネルギーのネットワークとでもいうべき物を形成している。
ただしそのエネルギーはスターウェーに比してあまりに微弱なので装置による検知は不可能。この繋がりは物理的な接近・接触、そして相手とのコミュニケーションによって生じ、また変化する。その実態について完全に把握しているのは黄金の種族のみで、銀の種族も基本的な部分は概ね理解している。
しかし人類にとっては未知の領域で、結果、ディアネイラの持つような精神感応力は超能力の中でも謎多き特異な才能とされている。