■ オーガン
青銅の種族”タウロン”との遭遇、そして過酷な戦闘経験を通じて生み出された人類初の本格的機動兵器。最大の特徴は人型であること。
このため、従来機のような感覚変換的手法(非人型マニューバを神経結合によるダイレクトオペレーションで操作する際の感覚的齟齬を解消するためのプログラム処理)が要らないため、自己の肉体と同じような自然で自由な操作感覚で、これまでにない高度な動きが実現され、またそのため、銃などの外部兵装の利用が現実的なものとなり、広い作戦対応力を持つに至った。
とはいえノーマルなオーガンタイプはやはり操縦者=人間の能力的限界(反射速度等)のため、相当程度のセミオートマチックオペレーションとなっている。一方、ヒロイン直属部隊の機体は精神場制御装置が搭載され、知覚・思考の著しい高速化によりフルマニュアルオペレーションも可能となってい る。操縦者に武術的スキルがあれば、これは大きなアドバンテージとなるし、そうでなくとも状況への即応性は大幅に向上する。
この機体の機動力は人体の耐えうるレベルではないので、コックピットはグラビティ・インシュレータによって外部の重力から隔離されている。この保護されたコックピットはそのまま脱出カプセルにもなっている。
この機体の画期的高性能は超伝導流体金属を用いた人工筋肉の発明で実現された。これは捕獲したタウロンの肉体を研究した結果生み出された技術である。実際の内部構造も人体に近い。フレームは骨格、コックピットや動力炉などの重要器官は胸部内に収められ、その周りを金属製の人工筋肉が覆い、一番外側を装甲に覆われて いる。
オーガンの登場以前は、肉体即兵器であるタウロンを相手にして人類は近接戦闘に於いてまるで勝ち目がなかった。しかしこの機体によって、屋内など狭い場所に侵入してきた敵や、格闘戦になっても有効な対抗手段を初めて得たのである。
その機体コンセプトから内蔵式の固定武装は持たないが、格闘能力の強化のため、5本ある手指の先端に分子破砕機を備えている。また高出力の陽電子砲などに機体からエネルギーを供給する事もある。
機体の動力源は熱核反応炉。2次動力源として超伝導セルを用いた大容量バッテリーも搭載している。これは操縦者の生命維持など、低レベルなエネルギー供給の必要なデバイスに給電するバッファとして普段は機能しているが、主動力にトラブルが発生した緊急時には50%の能力で短時間の運用が可能。
主な兵装は陽電子銃、陽電子砲、ミサイルランチャー、プラズマソードなど。陽電子銃は標準ともいえる武装で、片手撃ちも可能な小型の反粒子 ビーム砲。高出力の単発・バースト射撃と低出力の連射機能を持つ。陽電子砲はオーガンの全高を超える長銃身の反粒子ビーム砲。一発の射撃に長いエネルギー 充填時間がかかり、連射はできない。前者は中・小型の標的に、後者は本格的な対艦兵器である。バックパック式のミサイルランチャーには反陽子弾、重力子弾、などの強力な弾頭が用意されている。プラズマソードは刃先のスリットから高温プラズマを噴出して対象を切断する近接格闘戦用武器。
これら多彩な武装と高性能な機体の組み合わせは強力なものではあるが、それは主にタウロンに対してであって、ノドスに対しては決定的に力不足である。だが、ヒロインなどESP能力を持つパイロット専用の次世代オーガンではノドスのイデアチャンネル(意志の力に基づいた攻撃エネルギー)に対抗する方策が採られている。ただしそれも十分な性能とは言い難く、やはりノドスに対抗できるのはノドスだけという状況は変わらない。