インタビュー CASE:園部和稀

この仕事において重要なのは、「人の心に気付けるか、気付けないか」

名前:園部和稀
所属:制作3部
入社年:2018年
役職:制作デスク・設定制作

※このインタビューは2024年12月時点の内容となっています。

質問1)学生時代はどんなことをしていましたか?

バレーボール部で、部活三昧の日々でした。厳しい環境でしたが、中高ともに県内ベスト4、関東大会出場と良い成績を残せたので良かったです。実はI.Gには運動部出身の人が結構いるんですよ。中には「インターハイに出た」なんて人もいますね。

質問2)Production I.Gへ入社を決めた理由は?

最初のきっかけは、大学受験に失敗して「働かないとな」となったときに、自分の部屋にあったアニメのフィギュアが目に止まったことでした。それでふと、「アニメ会社に就職しよう」と思ったんです。

当時の自分はいわゆる「日常系」のアニメが好きで、I.Gは硬派な作品を制作する会社というイメージだったんですが、「好きなものを仕事にしたら好きじゃなくなる」と聞いたことがあったので、むしろ自分があまり見ないジャンルを制作している会社に入ろうと思いました。I.Gの作品は入社後に見て、その面白さや素晴らしさに気付いて、好きになりました。

もう一点、当時はまだ少なかった、制作進行を正社員で雇用していた点も入社の決め手でした。

質問3)Production I.Gはひとことで言うとどんな会社でしょうか?またその理由は?

「話し合いができる」です。

あくまで自分が所属している部署の話ではありますが、上長も自分の相談や問いかけを聞いてくださいますし、同期も相談に乗ってくれます。後輩は自分に話しかけやすいかはわかりせんが、アニメ制作における難点は話し合って、どう対応していくかをしっかり話せてはいると思います。

作品の良し悪しだけではなく、「部署をどう運用していくか?」とか、そういうところまで話し合うことが出来る印象です。他にも雑談などもよくするので、その中でお互いわかることもあるのが良い点だと思っています。

質問4)今はどんなお仕事をされていますか? 作品名と作品の中での業務担当をお教えください。

まだ発表されていない作品で設定制作をやっています。もうひとつ、その先に控えている作品では制作デスクをやるので、その準備も平行して進めています。

設定制作は作品で必要な設定類の発注・準備を行う業務、制作デスクは各話数のスケジュールや作品で一緒に仕事する人への仕事の相談や管理する役職です。

質問5)休日の過ごし方を教えてください。

社会人チームでバレーボールをまだ続けているので、毎週土曜日は練習をして、日曜日は大会があれば出ます。それ以外は基本ゲームをしたり漫画を読んだりして、家でゴロゴロ過ごしております(笑)。ゲームは推理系と「ポケモン」、漫画はラブコメが好きです。

休日出勤は自分が教えている子にも基本的に禁止していますね。忙しい時期には土曜日も出社しなきゃいけないときもありますが、あくまでそれは自分で「土曜日も仕事をする」と選択をした結果として出てほしい。あくまで基本は、月曜日から金曜日の中でちゃんと仕事が終わるように計画をしなさい、と。僕自身も入社2年目以降は、土曜出勤は片手に収まるくらいの回数、日曜日は出勤したことはありません。

作品のタイミングによっては毎週でなければいけない時期もありますが、作業者さんが頑張ってくれているのでこちらも頑張ろうと思えたりします。

質問6)入社してから今までで一番印象に残っている仕事は? その理由は?

『銀河英雄伝説 Die Neue These』#25~#48です。入社2年目から3年目のほとんどの時間を過ごした作品で、最初の1年は制作進行として普通に関わっていたんですけど、いろいろあって制作デスクの補佐を2年目からやることになりまして。1カットに関わる工程が多く、また、先輩として後輩の面倒も見る必要もあり、やることが多い作品でしたが、そんなタイトルをやり切れたことで、次の作品で制作デスクにしていただけました。そうした今の自分への評価に繋がったという意味でも、印象深い作品です。

© 田中芳樹/銀河英雄伝説 Die Neue These 製作委員会

質問7)今の自分の役職を目指すなら、どんな資格や経験を有しているといいと思いますか?

制作デスク・設定制作をやる上で、資格や経験は特に必要ありません。僕もこれといった資格はありませんからね。あえていうなら、「バイトはいっぱい、いろんなのをしておいた方がいいよ」くらいでしょうか。「人の心に気付けるか、気付けないか」が、僕がこの仕事において一番重要視していることなんです。チーム内でも、他の部署の作業者さんでも、「相手はどういう情報を欲しがってるんだろう?」とか、「どのタイミングで声をかければいいんだろう?」みたいなことはすごく意識します。それを学ぶ意味でバイト、特に接客業はやっていても損はないのかなと思いますね。「カスタマー対応をずっとやってました」なんて人はぴったりかもしれない。

ちなみに僕はパチンコ屋さんでバイトをしていました。学校では会わないような、いろいろな年代や属性の大人と話せる場所で、そのときに学んだことが今の自分の仕事にも生きている気がします。

あとはもう、ただ元気でいてくれればそれだけで十分ではないでしょうか(笑)。

質問8)自分が面接官なら、どんなポイントを見ますか?

笑顔と挨拶です。ファーストインプレッションがすごい大事な仕事なので。意外とそういうところを見られているものだなと、入社してから感じるようになりました。多くの人とやり取りをするので、相手がやり取りで嫌な思いしないことが重要だと思ってます。相手から信頼されるだけで仕事もやりやすくなるし、嫌な相談もしやすくなります。それには笑顔と挨拶が少なからず必要かと思います。

できるなら、笑顔に限らず、表情全般に気を使ってほしいですね。意見をぶつけなきゃいけない場面がどうしてもこの仕事にはあるのですが、真剣に話すときはちゃんと真剣な顔ができる、優しく相談するときは優しい顔ができる、怒ってるときはちゃんと怒っている顔ができるといい。今の若い子って、笑ってごまかす癖がついてる子が多い印象なんです。でもそれって、相手によっては、「今、笑うところじゃないよね?」と感じる方もいらっしゃる。なので、顔つきはみたい。感情表現がしっかりできている子の方が、教える立場としてもわかりやすいですし。「無理して感情を閉じ込める必要はないよ」と言ってあげたいですね。

質問9)現在就活をしている方へメッセージをお願いします。

制作進行は決して楽な仕事ではありません。辞めていく方々もたくさん見てきました。「やろうか迷っている」のであれば、別の仕事を選んだ方がいいと個人的には強く思っています。

「やりたい」と思う気持ちだけでやれる仕事って、今、本当に少ないと思うんですよ。「頭が良くないといけない」とか、「パソコンの能力が高くないといけない」とか、いろいろと条件がつく。でも、制作進行は別に頭が良くなくても、パソコンができなくても、いくつかのポイント、大事な場所を押さえておけばできる仕事だと、僕は思っています。やろうと思ったときに、やりやすい。その分、つらいこともあるとは思うんですけども。なので、この会社に来たい、アニメ業界に入りたいと思っているんだったら、一つでもいいのでやりたいこと、「こういうことをしてみたい」とか、「こういう立場になってみたい」みたいな気持ちを持っていてほしい。たかが一つ、そういうものがあるだけで、僕は十分だと思います。もしうちの会社に来たら、一緒にがんばりましょう。

多くの場面で感動や達成感を感じることができる仕事だと思います。自分は今まで関わった作品どれもが大変でしたが、好きな作品でもあります。

就職活動、がんばってください!