劇場版BLOOD-C The Last Dark

2012年6月26日『劇場版BLOOD The Last Dark』公開記念『BLOOD THE LAST VAMPIRE』同時上映会

登壇者

  • 塩谷直義(監督)
  • 藤咲淳一(脚本)
  • 森下勝司(プロデューサー)

始まりの作品『BLOOD THE LAST VAMPIRE』

『BLOOD THE LAST VAMPIRE』は押井塾の中から生まれた作品として有名だ。その押井塾には現在のプロダクションI.Gを率いるトップクリエーターが数多く参加している。
I.Gの長編セルアニメーション作品としては最後となった沖浦啓之監督の『人狼JIN-ROH』が2000年に公開された後、同年にI.Gによる最初の長編デジタル作品である『BLOOD THE LAST VAMPIRE』が公開されたが、同様に今年は『BLOOD-C The Last Dark』公開に先がけ、沖浦監督の『ももへの手紙』が公開されていることも印象的だと語る3人。『BLOOD』シリーズはプロダクションI.Gにとっての節目になる時期に存在感を示す、運命的な作品のひとつになっているのだ。
今回登壇した3名は『BLOOD THE LAST VAMPIRE』にも様々な形で関わってきた。森下は当時、セル画からデジタルへと作業が移行したばかりの環境の中で、デジタル進行という新たな役職をこなしていたという。藤咲は森下がイメージボードのコピーを取り扱っていたという思い出を語った。また当時新人であった塩谷は、I.Gに入ってから初めて見た作品が『BLOOD THE LAST VAMPIRE』であり、そこから強い印象を受けたという。

『BLOOD THE LAST VAMPIRE』の見所

刀を振るう少女のアクションシーンが目を惹く『BLOOD THE LAST VAMPIRE』はホラーテイストでバイオレンスとグロテスクな表現も多い。この作品の中で塩谷監督が惹かれたのは保健室の教員だったという。森下プロデューサーによれば、設定の段階では「細身で色気のある女性を」との声もあったそうだが、北久保弘之監督のこだわりから現在の設定になったという。中でも塩谷監督が気に入っているのが、保健室で翼手を小夜が斬り伏せた時の表情だそうだ。

『BLOOD THE LAST VAMPIRE』から『BLOOD The Last Dark』へ

第一作から10年以上の時間を経て、ゲームやテレビシリーズなど様々な展開を果たしてきた『BLOOD』シリーズの最新作である『BLOOD-C』について、脚本を担当した藤咲によれば、今回は小夜が小夜として成立する部分のギリギリまで削いでいきCLAMP色を濃くした作品に仕上げたそうだ。本作はもはや、CLAMP作品のひとつであるといっても過言ではないという。また、制作にあたって塩谷監督は、藤咲からの「アクションをしっかりやりたい」との提案を快諾し、冒頭のシークエンスで存分に『BLOOD』シリーズらしさを盛り込んだそうだ。さらに、各所に散りばめられた『BLOOD THE LAST VAMPIRE』へのオマージュについて話題が及ぶと、塩谷監督は小夜の服装から柊真奈の表情など細かいところに、『BLOOD THE LAST VAMPIRE』で自分が印象深かった要素を仕込んだので、旧作と見比べながら楽しんでほしいと語った。

気になる『BLOOD』シリーズの今後は?

旧作と最新作を対比しながらシリーズを振り返ることになった本イベントだが、シリーズの今後についてはすでにアイデアを温めており、『BLOOD』に関する様々な展開や企画を動かしていくつもりであることが藤咲の口から明かされた(実際にファンにお目見えする時期はこれまでの経緯を考えれば5年後になるかもしれないとのことだが)。いずれにせよ、今後の『BLOOD』シリーズの展開が期待できる言葉で締めくくられたことは朗報だろう。