作品紹介イノセンス

2004年2月2日(月)

音響最終チェック。今日はドルビーデジタルサラウンドEX。
音は飛ばなかったようですが、意識が飛びました。

カントクは心なしか、口数が少ないようです。
でも、普段が多過ぎる位ですので、ちょうどいいのかも。

2004年2月3日(火)

DTS-ESおよびドルビーSRのチェック。
やはり迫力が段違いです。音はぜひDTSもしくはドルビーデジタルでご視聴いただきたい。

現場作業優先で取材にストップをかけることがなくなってしまったので、公開までのひと月はカントクにとって相当つらいものになりそうです。
しかし、今回は(前回のように)逃げるわけにはいきません。
3年前、石川氏との約束で、宣伝展開には全面的に協力することになっているからです。

「あんな約束するんじゃなかった、石川にだまされた~」

だましたなんて、人聞きの悪い。誰のせいでもないでしょ。

かようなわけですから、カントクは「全面的に」宣伝に協力します。
本人がなんと言っても協力するのです。

現場の手を離れ、映画は宣伝へと勝負の場を移しました。
宣伝関係の皆さん、後はよろしく。がんばってください。

2004年2月4日(水)

取材の日。
午後から5件立て続けに、取材と宣伝関係の打ち合わせ。
グラビア撮影時には、バトーも登場。
中身は押井氏の実写作品でおなじみの俳優、藤木氏なのですが、誰がどう見てもバトーです。
えぇ、そりゃもう、間違ってもバトー以外のナニかに見えたりはしません。
見えませんってば。

2004年2月5日(木)

ゼロ号試写。

終わりました。
おかげさまで終わりました。
とにかく終わりました。
終わったんです。

……それなのに、こんなに忙しいのはなぜ?

2004年2月6日(金)

球体関節人形展、プレオープン。
人形関係の催しとしては、日本で最大級になるそうです。
各種取材に疲れ気味のカントクも、これだけは早くから楽しみにしていたので、喜んで出かけていきました。

俺も仕事として行ってもいいですか? ダメですか、そうですか。
ちぇ……。

2004年2月9日(月)

朝から製作委員会あり。しかも過去最大規模。

カントクはと言えば、取材に次ぐ取材で、のべつ幕なくしゃべりっぱなし。
間に1度休憩は入れたものの、この間約6時間。さすがに取材後はぐったりとしてました。

宣伝展開は始まったばかりですが、早くも鉄人レースの様相を呈してきました。
果してカントクは、最後まで走りきることができるや否や?

2004年2月10日(火)

本日も午後から取材攻め。
昨日より1時間少ない分の余力は、夜のプリントチェックに使っていただきます。

大丈夫。オムスビを食べるくらいの休み時間はとってありますから。

2004年2月12日(木)

五反田IMAGICAにて初号試写。
3回の試写がすべて満員御礼でした。
明日は試写会付きイベント。初号翌日に一般のお客さんの反応が見られるのは、「パト1」以来じゃないかな? いや、あんまり喜ぶべき事態じゃないけど……。

イノセンス 初号試写
(IMAGICA3Fロビーにて)

2004年2月13日(金)

午後から取材が3件、その後に対談、続いて試写、イベントにてトークショー。
これはもう、映画監督というよりも売れっ子芸能人のスケジュールですな。

試写は600席以上もある大きな所で、2回共おおむね満席。
ちなみに、ほぼ同時刻に別の場所で行われたプレス試写の方も、異例の満席だったそうです。

カントクと僕の席は前から数列目の一番左端っこ。
巨大画面で細部の仕込みまでキッチリと見えてしまいました。しかし首が痛い……。
カントクの方は、隣のあんちゃんがむさぼり食っていたポップコーンの音の方がつらそうでした。

イベントの方も盛況で、一部不手際があったものの、ご好評いただけたようです。
特に伊藤君子さんのミニコンサートが最高。カントクも舞台裏で聞きほれていました。
しかし、演目に「FLY ME TO THE MOON」が入っていたのは、やはりアニメファンを意識した選曲だったのかしらん?

カントクのトークショーはいつものカンジでしたが、川井氏が持ち出した伝説の名器、前作にも使われていながら、9年間公にされることのなかった「シャミレレ」を、本邦初公開。
川井テイスト満載の秘密兵器を、惜しげもなくネタバラシしまくりとは、なんてぜいたくなイベントなんだー!!

……すみません。ちと言い過ぎました。
なに? 反対側のコーナーでは、鈴木氏が踊っていたとな?
そいつは惜しいものを見逃してしまった。

総じて有意義なイベントだったと思いますが、いかがでしょうか?

2004年2月16日(月)

取材は続く。午後から5件。

社外での集中取材が多くなってきたカントクは、ますますスタジオに入ることが少なくなってきました。
あるじを待つ机の上に、荷物ばかりが増えていきます。
今週もカントクが国分寺に来る予定はありません。

2004年2月17日(火)

取材6件。御会食、試写会ティーチインなど。

スタジオそばの駅ビル内にある本屋さんに、押井守コーナーができていました。
あらためて、カントクの本ってこんなにあったんだなぁと、カンシンしてしまいました。

2004年2月18日(水)

IMAGICAにて2号試写。特に問題もなく、終了。

その後、軽く打ち上げ。
会場でカントクの姉上にお会いしました。クリソツです。マジで。
普段からオバチャン顔だと言われるカントクですが、お姉さん似だったんですね。
なぜか妙にナットク。

2004年2月19日(木)

残務に追われる日々。
スタッフ向けの試写も昨日ですべて終わり、石川社長と広報部を除いたほとんどのスタッフは、すでに次の作品に入ってしまいました。
しかしカントクには、まだまだ宣伝活動にいそしんでいただかねばなりません。
今日は大阪、明日は鳥取。しかもスタジオジブリの鈴木氏と一緒の旅です。

「楽しそうじゃねぇか。なんで広報に任せねぇんだ?」

「おやじの奴が入れ込んでるのさ」なんちゃって……。

完全に現場の手を離れた「イノセンス」。
あとはヒットを祈るのみ。

2004年2月20日(金)

完全に手を離れて……いませんでした。
品川某所にて特報の試写。
カントクは遠く鳥取の地にて宣伝活動中。現場は降ってわいたような追加作業中。

公開まで、あと2週間。

2004年2月23日(月)

本日の取材は4件。

カントクより、現場から撤収するので、机周りにある私物などの荷物を熱海の自宅に送れ、との指示あり。
3年にもわたる作業期間中にたまった荷物。かなりの量ですが、ホントに全部送るんですか?

「いいから送れ。一切合切全部送れ」

それはそれで、結構大変なんですけどね……。

2004年2月24日(火)

取材5件の後、ラジオ番組収録。

「多くは覚悟でなく、愚鈍と慣れでこれに耐える」……か……。

2004年2月25日(水)

予定していた他社での打ち合わせを、電話1本で一方的に2時間も遅らせておいて、いったいどこでなにをやっていたんですか?
いや、だいたい想像はつきますけどね……

あえて誤解を恐れずに、というか、誤解を受けまくること必至な表現をするならば、ズバリ「女性と逢っていた」。
どうですか? 嘘にはならないでしょ?

2004年2月26日(木)

六本木ヒルズでの待ち合わせに、40分も遅刻してきたカントク。

「お、みんなそろってるね」ですと……?

「アタリマエでしょ! 何分待たせるんっすか!」

「すまん」

ありゃ、珍しく素直ですな。疲れてますね? そりゃそうか……。
今日も多忙なカントクと、交わした会話はたったこれだけでしたが、ふだんの無駄話よりは伝わるものがありましたよ。

打ち合わせの後、完成報告会見、合間で原稿チェックなどしながら、舞台挨拶。完成披露試写会が始まったところで、毎年恒例の「二・二六」イベントへ。

……濃過ぎてついていけません。
カントクには申し訳ありませんが、帰って寝ます。

2004年2月27日(金)

先週に引き続き、品川某所にてテスト。
朝早く都心に向かうたびに、通勤地獄の厳しさを痛感させられます。
以前、カントクが満員電車の中で言っていたことを思い出します。

「毎朝こんな目に遭わずに済むだけでも、本当にこの業界に入って良かったと思うよ」

まったくもって同感であります。
世の企業戦士たちに合掌。

2004年2月28日(土)

カントクの心のオアシス。バセットハウンド大集合イベント。
そもそも国内では見かけることすら珍しい犬種なのに、よくぞ48頭もそろいましたね。
カントクの至福これにあり、ですか? 今まで数々のパブ活動に協力してきたかいがあったと?
そうですか、それはヨカッタ。
では、公開まであと1週間、さらに公開後にもしばらくは取材攻勢が続きますけれど、がんばってくださいね。