- 各話紹介
- 第1話「公安9課 SECTION-9」
- 第2話「暴走の証明 TESTATION」
- 第3話「ささやかな反乱 ANDROID AND I」
- 第4話「視覚素子は笑う INTERCEPTER」
- 第5話「マネキドリは謡う DECOY」
- 第6話「模倣者は踊る MEME」
- 第7話「偶像崇拝 IDOLATER」
- 第8話「恵まれし者たち MISSING HEARTS」
- 第9話「ネットの闇に棲む男 CHAT! CHAT! CHAT!」
- 第10話「密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE」
- 第11話「亜成虫の森で PORTRAITZ」
- 第12話「タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM」
- 第13話「≠テロリスト NOT EQUAL」
- 第14話「全自動資本主義 ¥€$」
- 第15話「機械たちの時間 MACHINES DESIRANTES」
- 第16話「心の隙間 Ag2O」
- 第17話「未完成ラブロマンスの真相 ANGELS' SHARE」
- 第18話「暗殺の二重奏 LOST HERITAGE」
- 第19話「偽装網に抱かれて CAPTIVATED」
- 第20話「消された薬 RE-VIEW」
- 第21話「置き去りの軌跡 ERASER」
- 第22話「疑獄 SCANDAL」
- 第23話「善悪の彼岸 EQUINOX」
- 第24話「孤城落日 ANNIHILATION」
- 第25話「硝煙弾雨 BARRAGE」
- 第26話「公安9課、再び STAND ALONE COMPLEX」
「電脳不適応 Net Inadaptability」
通信手段の究極の形態として成立、そして普及を見た電脳ではあったが、新たな技術が、それに伴う下部構造主導型の新種のイデオローグと、予想だにしない社会問題をもたらす現象が垣間見られるのは歴史の常である。
技術的安全面では際立った問題は見られなかったものの、広範な電脳通信インフラの整備は、同時に、コミュニケーション概念の個人差、言うなれば個人と個人との心理的距離の取り方の差異を強制的に均質化することをも意味していた。すなわち電脳によるコミュニケーションが前提化されることは、リテラシーといった概念をはるかに超え、人間の社会動物としてのフォーマットが根本的に変革されることを意味していたのである。
むろん、それに適応できない者が登場したのは言うまでもない。そうしたいわゆる電脳不適応者を社会復帰させるための福祉政策は、いまや各国政府の急務といえた。