- 各話紹介
- 第1話「公安9課 SECTION-9」
- 第2話「暴走の証明 TESTATION」
- 第3話「ささやかな反乱 ANDROID AND I」
- 第4話「視覚素子は笑う INTERCEPTER」
- 第5話「マネキドリは謡う DECOY」
- 第6話「模倣者は踊る MEME」
- 第7話「偶像崇拝 IDOLATER」
- 第8話「恵まれし者たち MISSING HEARTS」
- 第9話「ネットの闇に棲む男 CHAT! CHAT! CHAT!」
- 第10話「密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE」
- 第11話「亜成虫の森で PORTRAITZ」
- 第12話「タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM」
- 第13話「≠テロリスト NOT EQUAL」
- 第14話「全自動資本主義 ¥€$」
- 第15話「機械たちの時間 MACHINES DESIRANTES」
- 第16話「心の隙間 Ag2O」
- 第17話「未完成ラブロマンスの真相 ANGELS' SHARE」
- 第18話「暗殺の二重奏 LOST HERITAGE」
- 第19話「偽装網に抱かれて CAPTIVATED」
- 第20話「消された薬 RE-VIEW」
- 第21話「置き去りの軌跡 ERASER」
- 第22話「疑獄 SCANDAL」
- 第23話「善悪の彼岸 EQUINOX」
- 第24話「孤城落日 ANNIHILATION」
- 第25話「硝煙弾雨 BARRAGE」
- 第26話「公安9課、再び STAND ALONE COMPLEX」
「ロボット保護団体 Robot Protecting Organisation」
ボードリャールの規程によれば、1970年代欧米において“ロボット”という単語は、人間の労働力を等価的に代替する工業機械のことを指すのが普通であった。それがオートマトンなる語に替わって、人間と相似的な外見を保有する機械人形としての意味を担うようになったのは、世紀末から新世紀初頭にかけてである。
ロボットの広範な民間普及は、それに付随するさまざまな社会現象をも同時にもたらした。20世紀と比して特に顕著だったのは、多くのロボット保護団体の登場である。その活動は基本的には、かつての動植物保護や環境保護などと同じ論理によって駆動されていたと言える。すなわち、ヒューマニズムをヒューマン(=人間)以外にも拡張させて適用しようとする錯誤的意思の産物であったわけだ。
当初、その保護運動は、ロボット販売後のアフターケアを受ける権利を、ユーザーではなく、商品であるロボット側の保有する基本的権利であるという主張を根拠に開始され、その後、ロボットの使用や扱いに関する簡単なモラル・ガイダンスができあがったと言われている。そのガイダンスは、いまだ法制化は遂げていないものの、社会的モラルの一般常識として比較的広い層に浸透している。
また余談ではあるが、ロボット市場における、女性型アンドロイドへの極端な需要の集中は、必然的にロボットの主要な使用目的を露呈する結果ともなり、サイボーグフェミニズムも過去のものとなった時代において、新たなフェミニズム系言論の材料を提供してもいる。