作品紹介xxxHOLiC

006.jpg

タンデキ(耽溺)、を辞書で引くと「ふけり、おぼれること」とあって、つまり何の説明にも
なっていないのだが、字面からしてもうなんだかすべてワカッチャウ感じではある。
あまりいい意味で使われるコトバではないけれど、夢中になってやっている、
ということならアニメの現場には『タンデキ』しちゃっているヒトは少なからずいる。

xxxHOLiCなのに、『空中戦!アングルグルグルで!』とニコニコしてるアナタ。
xxxHOLiCなのに(だから?)『萌え』の正体を求めて遠い目をする、そう、そこのアナタッ!

だが、みんながみんな我が道を突っ走ってしまっては、集団作業であるアニメはうまくいかない。
スケジュールとクオリティのバランスを見極めてくれるメインスタッフがいると
作品完成までの流れをあずかる制作進行として、これほど心強いことはない。

たとえば、今夜のxxxHOLiC 第6話の作画監督、ウエタさん(※1)がそうだ。

アニメーションの原画は、シーンごとに何人もの原画マンにふりわけて作業される。
基本となる設定はあるものの、原画マンによってキャラクターの表情や体つきに
どうしても違いが出てしまう。それを修正し、統一していくのが作画監督のお仕事だ。

当然、激務。

責任は重大、作業は膨大、しかし制作進行は寛大ではない。(自分のコトなのだが)
無茶なスケジュールを伝えざるを得ない制作(自分なんだが…)に対して
ウエタさんが泣き笑いでつぶやくヒトコトが、
「はぁ~いがんばりまぁ~す…」
なのであった…ただし!

ただし、弱々しいのはあくまで口調だけで、その修正作業は力強い。
画から伝わる迫力・緊張感が重要なこの話数で、ウエタさんの修正にはそれがみなぎっている。

そしてさらに、いままで何人もの作監さんと付き合ってきたが、動画まき(※2)の状況を
制作に聞き、あまつさえこう言ってのけたのはウエタさんだけだ。
「で? 明日何枚欲しいの?」
…このおコトバのありがたみ。
クオリティとスピードを兼ね備えた作画マンからのみ聞ける、珠玉のヒトコト。
帯封つきの札束でほっぺたをハタかれる気分、と言えば伝わるだろうか…

かくして第6話はオン・スケジュール、溺れ沈むどころか順調そのもので完成を迎えた。
見てくださる方はぜひ、その面白さに『ふけり、おぼれて』頂ければと思うのデス。

※1… 植田 実 Ueta minoru (作画監督、アニメーター) 徳島県出身

主な作品

  • ・テレビシリーズ「快傑蒸気探偵団」(原画) -1998
  • ・劇場作品「アキハバラ電脳組 2011年の夏休み」(原画) -1999
  • ・テレビシリーズ「女神候補生」(作監) -1999
  • ・テレビシリーズ「機獣新世紀ゾイド」(作監、原画) -2000
  • ・テレビシリーズ「パラッパラッパー」 (原画) -2001
  • ・テレビシリーズ「ノワール」(作監、原画、OP原画) -2001
  • ・ゲーム「テイルズ オブ エターニア」(作監) -2000
  • ・テレビシリーズ「シャーマンキング」(作監) -2001
  • ・テレビシリーズ「あずまんが大王」(作監) -2002
  • ・テレビシリーズ「テニスの王子様」(作監・原画) -2001~2005
  • ・テレビシリーズ「D.N.ANGEL」(作監)-2003
  • ・劇場作品「劇場版 テニスの王子様 二人のサムライ THE FIRST GAME」(作監)-2005
  • ・劇場作品「劇場版 xxxHOLiC 真夏ノ夜ノ夢」(小物設定)-2005
  • ・テレビシリーズ「BLOOD+」(作監)-2005
  • ・テレビシリーズ「xxxHOLiC」(小物デザイン)-2006

※2…作画監督チェックを抜けた原画をもとに動画作業を発注する。事前の根回しが大事