作品紹介xxxHOLiC

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黒電話。酒瓶。やや大きめな恐竜の模型。ワイングラス。模造の日本刀、銃。
ピエロの仮面。鉄道模型。モンスターのフィギュア。飾り棚に整頓された無数のミニカー。
本棚にはずらりと写真集、雑誌。最新型のPCと広大なタブレット。
中央の大きな机の上には、様々な色の大きな封筒が並んでいる。

特殊効果(特効)マン、村上さんの仕事部屋の様子だ。

初めて訪れた人には、この部屋の主の仕事は想像つかないに違いない。
大きな封筒はもちろん、xxxHOLiCを含む幾つものI.G作品のカット袋。
不思議な雰囲気をかもし出しているアイテムたちは、村上さんがいままでに関わった仕事の資料や思い出の品々である。

アニメは大きく分けて「セル描き」と「BG描き」の2つの素材から出来ている。
BG(背景)は、画用紙に絵の具で描かれる水彩画。
対してセルは、鉛筆画をスキャニングしてコンピューター上でベタで彩色されている、キャラクターや小物といったものたちだ。
筆で描かれる背景に対して、セルは当然ながら質感やディテールが出しにくい。

画作りの上で、セル描きのものに(BG描きとは違う)質感が必要となった場合、どうするか。
そこで村上さんのような特効マンの出番となるわけだ。

今日も、このあいだ作業を終えていただいた話数のお礼がてら制作日誌のネタを拾いに伺った。
何か面白い話でも出てこないかと気楽に立ち寄ったのだが、気がつけばすっかり話し込むことに。
村上さんの過去作品のスクラップブックをひもときながら、特殊効果というセクションの奥深さ、面白さを改めて実感する2時間となった。

筆者が生まれたちょうどその頃、キャリアをスタートさせた村上さん。そのお仕事についてヒトコトでも触れるのは恐れ多くもおこがましいけれど、感じたことをすこしだけ。

村上さんはきっと顕微鏡のような視線で、世の中の森羅万象を観察しているのだと思う。
なぜわれわれには壷が壷に、世界が世界に見えるのか?
そういうことを理屈ではなくひたすらな観察でゲットし、二次元の絵に反映させる技術。

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画像1 完成画像
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画像2 特効処理前
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画像3 花柄のエッジに向かって
絵の具がにじむ様子が再現されている
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画像4 特効処理前

xxxHOLiC #16の時の素材をわかりやすく並べてみたつもりである。
この素材を選んだのは筆者の独断であり、村上さんは不満だろう。
「自分の中にもうある引き出しを開けて出しただけの奴だもん」
現状や結果に、絶対に満足しないスタンス。謙虚な物言いの裏にある、揺るぎない自信と責任感。

歩いて3分の距離に、世界一の人が仕事してるってスゲェことだなと、単純に思うわけで。

さっ、今夜のxxxHOLiCは第18話 「ホオズキ」。
もう何も言うことはない、シリーズ屈指の名話数となること間違いなし。めちゃくちゃイイ。
水島カントク脚本・コンテ・演出(コンテ演出は第1話以来)の、これぞxxxHOLiC!な1本。

『アニメーション』ならではの醍醐味を、たっぷりと味わえる30分になってます。
もちろん村上さんの特効カットにも注目して頂きつつ、今夜もお楽しみに。必見。