作品紹介シュヴァリエ

第10回 キャラクターデザイン 尾崎智美の言葉ありき! 「醍醐味」

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名前
尾崎智美(おざき・ともみ)
経歴
ゲーム業界を経て、イラストレーターとして活動。その後『KURAU Phantom Memory』でキャラクターデザインを初担当。旦那様はプロップデザインのtoi8氏。

——今回はどのような経緯で『シュヴァリエ』のキャラクターデザインをされることになったのですか?

 元々は、旦那(toi8氏)が依頼された仕事だったんですが、スケジュールが合わなくてお受けすることができず、私にやってみたらどうか? というお話がきたんです。とりあえず監督とプロデューサーに会いに行くことになったのですが、お手伝いする位で、自分が全てをやるとは思っていなかったので、驚きました。

——監督からは、デザインについてどんなオーダーがあったのですか?

 キャラクターは漫画でもリアルでもなく、アニメアニメしてないように。それから、なるべく洋服などもふくめて、史実に基づいた人物像にして欲しいとおっしゃっていました。

——歴史上の人物が多く登場する作品ですが、キャラクターをデザインする際には、どのようにイメージを膨らませていらっしゃったのですか?

 歴史上の実在の人物を参考にすることもあるのですが、脚本のキャラクターイメージを優先しています。うまく表現できるかわかりませんが、一般の貴族と王家の人間をどのように差別化するかなど試行錯誤しながら描いています。

デオンは姉のリアに見えるように変身するという設定です。ですが、当時の男性のようにオールバックにしてしまうと感情移入ができないのではないかと思い、ちょっと上を向けばリアにも見えるように前髪を作りました。

 テラゴリーは他のキャラクターよりも少し衣装のベストの丈が長いんです。ルイ14世の時代に騎士として活躍していたので、ちょっと前のお洒落さんの服装です。 設定の中に帽子を描いたら、いつの間にかスタッフの皆さんがイメージを膨らませてくださって、「テラゴリーの思い出が詰まった大事な帽子」という事になっていました。色々な人が関わっているからならではの、共同作業の醍醐味を感じましたね。

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——デザインされた中でも、お気に入りのキャラクターは?

 アンナと、カリオストロは面白くかけたと思っています。

 アンナはあまり可愛く描こうという気がなかったんです。鼻は上向きで、エラが張ったキャラなんですよね。可愛いというより、愛嬌のある顔にまとめたかったんです。可愛く描いてもつまらないし、美女はみんな同じような顔になってしまう。女性キャラが少ないし、みんな手を抜けない歴史上のキャラクターなので、そのぶん、アンナで遊ばせてもらいました。

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——特にキャラクターをデザインする上で、具体的にイメージソースにしたものはありましたか?

 外国映画の役者さんなど、いっぱい参考にさせていただいています。

 アンナはブリジット・バルドーの髪型をイメージしています。ゲルシイ伯は『スクール・オブ・ロック』のジャック・ブラック。デュランはブラッド・ピット。テラゴリーは『マスク・オブ・ゾロ』のアンソニー・ホプキンズをイメージして描いています。

 実はロビンが一番、自分の素のキャラクターに近いんです。

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——実際に自分の描いたキャラクターが動いているのを見ていかがですか?

 自分のキャラクターが動くのは、いつまで経っても慣れず、恥ずかしいですね。自分の拙いキャラクターをアニメーターさんたちの画力で引き上げていただいているので、アニメーターさんにお礼を言いたい気持ちです。ドレスを動画で一枚一枚割っていることを考えると…気が遠くなる作業で、とても自分ではできる気がしません。

——プロダクション I.Gのスタジオに入ってお仕事をされていますが、ご感想はいかがですか?

 スタジオの中に入って仕事をすることで、ドレスの内側はどうなっているのかなど、設定上でわからないことがあった時、普通だったら面倒で諦めてしまうところも、近くにいるからこそ、尋ねて表現していただいています。

——最後に『シュヴァリエ』を楽しみにしてくださっている方々へ、一言お願い致します。

 18世紀ヨーロッパの、時代・場所にまでこだわって作っているので、考証にも注力して楽しんでくださいね。