作品紹介シュヴァリエ

第12回 作画監督 浅野恭司の言葉ありき! 「勢い」

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名前
浅野恭司(あさの・きょうじ)
経歴
アニメーション専門学校を経てプロダクション I.G入社。
主な作品にOVA『怪童丸』 、TV『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』、TV『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』、劇場『劇場版ツバサ・クロニクル 鳥カゴの国の姫君』、GAME『ソニックライダース』(アニメーションパート)などに作画監督として参加。

——『シュヴァリエ』は、今までプロダクション I.Gが作ってきたアニメーションとは一味違いますね。

キャラクターデザインの尾崎智美さんはアニメーションの経験値は少ないけれど、絵のセンスは抜群。リアルなんだけど、いい描き味なんです。
アニメーションの経験値があるか、ないかのどちらがいいということではないのですが、アニメーションに関わっていないからこその書き味がある。だから、逆にこの作品をやってみたいと感じました。

——作品の内容を聞いて、どう感じましたか?

読んでいくうちに一番気に入ったのは、主役級の4人それぞれキャラクターが立っていたことです。その4人が一つのチームとしていつも一緒に行動している。そんなキャラクターたちの魅力に、人間ドラマを感じました。作画としては、4人の表情や仕草によって、キャラクターに人間臭い深みが出せればいいな、と思っています。

——今回、『シュヴァリエ』ならではの試みはありましたか?

プロダクション I.G社内にはもう“巧い人”は沢山いるんです。綺麗な絵を描ける後藤さん、リアルな絵を描かれる黄瀬さん、コミカルな絵でも何でも描ける西尾さん。作画の中の自分のポジションや自分の絵は何なんだろう? と考えた時に、この『シュヴァリエ』に関しては“人間臭い”部分に力を入れて出したいなと思いました。

——実際に作画監督の作業をされてみてのご感想は?

それぞれのキャラクターに愛着がわいてきています。僕自身、そこまでキャラクターに愛着がわく作品は今までありませんでした。これから先、それぞれのキャラクターに様々な運命が待っています。そういう展開になる前に、きちんとキャラクターの描写などを盛り上げることで、より一層、観てくださっている方の感動を増すことができるのではないかと思っています。

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浅野恭司による作画修正

——キャラクターでは、誰が好きですか?

テラゴリーですね。ロビンやデオンに比べればデュランの方が人生経験を積んでいますが、テラゴリーにはまだまだかなわない。そんなデュランから見た“老練されたテラゴリー”は、自分が見上げるテラゴリーに近いのかもしれません。

自分はデュラン位の年齢ではあるんだけれど、テラゴリーの年齢や存在に向かっていかなくてはいけない。テラゴリーは年長者で一番経験を積んでいるけれど、人生経験があるからこそ、ある決断をしてしまう。そんな風に、4人の中で一番深みがあるから、惹かれるんでしょうね。

——『シュヴァリエ』の現場の雰囲気はいかがですか?

フリーでバリバリといろんな作品をやってきた同世代のアニメーターたちと机を並べることが、ものすごく刺激になっていて、さらに向上に繋がっている思います。“下手なものを上げると仕事が無くなる”という危機感。仕事に取り組む姿勢。徹夜も厭わないところ……

自分も徹夜はしないことが、仕事として効率のいい仕事になると思ってやってきました。けれど、フリーの人は、時間をかけないといいものが上がらないからと、泊まってでも仕事をしている。そういうやり方が、作品に関わっているという実感を沸かせているんですね。

——この作品に関わった経験が、今後の活動に影響を与えるようなことはありましたか?

作品を動かしているスタジオに入っているからこそ、作品に愛情も沸いています。自分の中で、辛くても“やってよかった”と思える作品だからこそ、苦にもならずに頑張ってイキイキ仕事ができているんですね。そういう作品の関わり方を、今後もしていきたいと思っているし、今後はI.Gで培ってきたものを、自分の経験を生かして、後輩にも伝えていきたいと思っています。

また『シュヴァリエ』は自分のプロフィールの中で、今後胸を張って「これをやりました!」と言える作品になると思っています。『シュヴァリエ』という作品を借りて、自分のアニメーター生活も“勢い”に乗せたい。これから参加する作品もその勢いにモチベーションを乗せてやっていきます。

——最後に、『シュヴァリエ』をご覧になられている視聴者の方に一言お願いします。

みなさんキャラクターに愛着をもって見てくれていると思います。自分がテラゴリーに憧れを抱くように、自分をキャラクターに置き換えて、楽しんで観てもらえたらと思っています。